伊賀 美和子
小さな人形を被写体にして、これまでは、傷つき、傷つけられる思いを心象風景にして描き写真にしてきました。人間は脆い小さな存在ということをユーモラスを交えて皮肉に表現する制作意図があったからです。制作を始めて15年の間にあえてアートでそれを表現しなくてもよい大きな出来事がありました。わざわざ不幸の淵を歩かずも私たちの生活は危険に満ちていることに気づいてしまったのです。
Lifestyle Of Hurts And SicknessからLifestyle Of Health and Sustainabilityへ。 傷つき、戦ってきたから、今あるひとときの安定を持続させたいと感じ始めています。大人になっても今いる位置が正しいのか、そしていくつになっても先の風景はぼんやりしていてよく見えないのですが、ひとつの道を同じ足で歩んできたことに自信を持ちながら生きていく心をこれからも描いていきたいと思います。